[まちづくり, 生活と環境]2016年7月9日(土)
戸田市は、「住工混在」の問題を抱えるまちです。
「住工混在」とは、多くの場合、もともとは工場が立ち並んでいた地域において、工場が移転した跡地に建て売り住戸やマンションなどが建てられることにより、工場と住居とが混在した状態になることです。
住民から「騒音や臭気、振動、道路の安全」などの苦情が上がっても、工場からすれば「工場の多い地域にあとから入ってきたのはそっち」との言い分があり、問題の解決は簡単でありません。
住工混在が生じてしまう背景には、「用途地域」の区分の課題があります。
用途地域は土地利用の制限を定めるもので、その区分は、住宅地としての「第一種住居地域」や「第一種低層住居専用地域」など、商業地としての「商業地域」や「近隣商業地域」、工業地としての「工業地域」や「準工業地域」など、全部で12種類あります。(下図参照)
▲総務省「みらいに向けたまちづくりのために」より引用
実際に、戸田市の工場が多い地域はすべて「工業地域」か「準工業地域」のどちらかに指定されているのですが、その「工業地域」と「準工業地域」において住宅を建てることに対する規制はありません。
(唯一、住宅を建てることが認められていない用途地域の区分として「工業専用地域」がありますが、それは石油コンビナートや製鉄所が立ち並ぶような地域です。)
したがって、例えば「工業地域」に指定された地域で、ある工場が移転した場合に、その土地の所有者が土地を住宅デベロッパーに売ることも可能であり、するとそこには建て売り住戸やマンションが建ち、住工混在が発生してしまいます。
実際に私も、市内で工場を経営されている方から、住工混在に関するご意見をかねてより頂いています。
戸田市は、市の抱える住工混在の問題を解決すべく、「戸田市土地利用調整方針(案)」を作成し、7月1日からパブリック・コメント(意見募集)を開始しました。
土地利用調整方針の詳細については以下のリンクから確認していただくとして、ここでは、戸田市が(方針が正式に策定された後に)取り組む主要な施策を説明します。【画像参照】
①立地適正化計画の策定
高齢化と人口減少への対策として、公共施設や民間施設の立地の誘導、公共交通などの充実を図り、まちをコンパクトにするための都市計画です。戸田市は、来年度から3年間を掛けて計画を策定します。(以前にこちらでも取り上げています。以下リンク参照。)
②モデル地区における取り組み
住工混在の問題が顕在化し始めている地区をモデル地区に選定し、そこで、
(1)既存の用途地域を強化するために、市独自の用途地域である「特別用途地区」(文教地区もその一例)を指定する。
(2)より細かな規制をかけるために、住民の合意に基づく「地区計画」(例:まちづくり協定)を策定する。
といった取り組みを進めていきます。
③大規模土地利用転換の調整制度
戸田市のまちづくりにおいて望ましくない大規模な土地利用転換が行われる場合に、これまでは事業者に対して口頭ベースでのお願いしかできなかったものが、今後はしっかりとした制度のもとで事業者と調整し、土地利用を誘導できるような仕組みづくりを進めていきます。
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議会においても、たびたび住工混在の問題は指摘されていましたが、決定的な方策が見出せていなかったなかで、行政のほうからこのような方針が打ち出されたことは大いに評価できると思います。
そして私としては、(担当課にも要望しましたが、)上記②のモデル地区には、住工混在の問題がすでに顕在化している“課題の多い地区”を選定していただけることを期待したいと思います。
◎戸田市土地利用調整方針(案)パブリック・コメント(戸田市公式サイト)
◎戸田市が進めるコンパクトなまちづくり ~立地適正化計画~(真木大輔公式ブログ)
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[安全と防災, 生活と環境]2016年6月26日(日)
6月議会で実施した一般質問のご報告ですが、まずは内容のわかりやすいこちらから。
テーマは、「デング熱やジカウイルス感染症などの蚊媒介感染症」です。
デング熱とジカウイルス感染症はともに、日本に生息するヒトスジシマカが媒介となる感染症で、現在のところワクチンや特別な治療法はありません。
このなかで「デング熱」は、一昨年に70年ぶりの国内感染(=海外から帰国した感染者のウイルスが国内で拡がること)が発生したことは記憶に新しいと思いますが、高熱は出るものの死に至る危険は少ない感染症です。
一方で、「ジカウイルス感染症」は、感染した妊婦の産んだ赤ちゃんが小頭症などの障害を持つ可能性が指摘されています。
さらにジカウイルス感染症の恐いところは、発症率が推定2割と低く、また発症しても発熱や頭痛などの症状が軽いために、
「本人が感染していることに気付かない間に、蚊を媒介として感染が広がってしまう」
ことです。また、性交渉による「人から人」の感染事例も報告されています。
今年になって国内で「7例」もの症例が確認されているジカウイルス感染症ですが、幸いなことに、いまだ国内感染は起こっていません。
しかし今年8月には、昨年からジカウイルスへの感染が拡大し4700例以上もの小頭症の赤ちゃんが生まれているブラジルにおいてオリンピック・パラリンピックが開催され、それが日本での蚊の活動期と重っていることから、日本での国内感染が発生することが懸念されています。
私たちができる蚊の防除策は、2つしかありません。
【防除策1】蚊に刺されない
素足でのサンダル履きを避ける、薄い色の長袖や長ズボンを着用する。虫除けスプレーや蚊取り線香などを使用する。
【防除策2】蚊を発生させない
蚊が好む産卵場所である、狭い水たまりのような場所を無くす。(なお、蚊の卵は乾燥に強く、どんなに小さな場所でも、周期的に水が溜まる場所であれば孵化してしまう。)
議場では、蚊媒介感染症の防除に関する以下の2点の提案を行いました。
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Q1.
市民や民間施設、公共施設への周知を。
A1.
市民に対しては、これまで「蚊に刺されない」ための周知を行ってきたが、これからは「蚊を発生させない」ための周知も実施する。(⇒感染の恐れがあるときの対応に関する周知も要望)
民間施設に対してはこれまで周知を行ってこなかったが、今後は商工会等を通じた周知を実施する。
公共施設に対しては、今年4月に各所管課に対して防除の依頼を実施した。(⇒防除がきちんと実施されたかの確認を要望)
Q2.
国内感染の発生時に備えた市の体制整備を。
A2.
今後の体制づくりのため、主体となる所管課を定めたうえで、国内感染発生時の役割や手順を作成することを検討する。
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なお、2つ目の答弁は、かなり画期的なものです。
というのも、蚊感染症対策の対応について、国からはある程度の手引きが示されているものの、そのなかには市町村の裁量によるところがあり、例えば市内や近隣で感染が発生した時には、「どの施設を閉鎖するか」「どのタイミングで、どの範囲まで、誰が殺虫剤をまくか」などの判断やそれに基づく行動を迅速に行うことが求められます。
それらの体制を事前に整備しておくことが、感染拡大を防止することや、市民の不要な混乱を招かないことにつながります。
「新型インフルエンザ対策」に関しては、行動計画を策定することがすべての市町村に義務付けられていますが、「蚊媒介感染症対策」に関して行動計画のようなものを策定している市町村は、私の知る限りありません。
今後、ジカウイルス感染症の国内感染が発生するかしないかは予測しきれませんが、仮に発生した際に迅速で的確な対応をとれるのは、事前の備えをしっかり行っていたところです。
一般質問の残りのテーマである「生活保護医療とこども医療の医療費適正化」「一時保育の福祉的理由による優先利用」については、後日報告いたします。
◎録画映像はこちら(戸田市議会公式サイト)
※掲載画像引用元
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[交通と自転車, 生活と環境]2016年6月25日(土)
昨年6月に供用が開始された「戸田駅西口のロータリー」について、やや長文です。
先日、地域のご婦人からお電話があり、
「昨日、戸田駅西口のロータリーに徐行で侵入したら、一時不停止で警察に捕まった。これまで40年間ゴールド免許で、安全運転には気を付けていたのでとてもショックだった。まわりの知人にも、あそこのロータリーで捕まった人が多い。どうにかしてほしい。」
とのご意見を頂きました。
それを受けてその日に現地確認を行ったのですが、そこから対応を進める前に、ちょうどその日の翌日の議会において、他の議員が一般質問でこのロータリーを取り上げられることが分かっていたので、まずはその質問を聴くことにしました。
以下、質問と答弁の要約です。
Q. 戸田駅西口のラウンドアバウト(環状交差点)における通行違反の検挙数は1年間で「約1000件(1日あたり2.7件)」もある。通行車両へのさらなる啓発を。
A. ①ラウンドアバウトの通行方法に関する啓発チラシの配布、②路面標示や注意喚起看板などの視認性向上、を検討する。
私は、この質問と答弁の趣旨自体には賛同しますが、ひとつだけ大きく引っかかる部分がありました。
それは、このロータリーを、議員はまだしも行政が「ラウンドアバウト」と呼んでしまっていることです。(過去の市の広報物やプレスリリース、また新聞報道においても「ラウンドアバウト」と呼んでおり、私は不満を抱いていました。)
このロータリーがまだ整備中であった1年半前にこちらで報告した通り、このロータリーは「ラウンドアバウト」ではありません。
仮に「ラウンドアバウト」であれば、循環部分へ進入する際は徐行しさえすればよく、一時停止までする必要はありません。(そしてそれが、交通の円滑化や省エネという「ラウンドアバウト」のメリットでもあります。)
このロータリーは、通行方法が大変分かりにくい中途半端な交差点であり、行政がこのロータリーを「ラウンドアバウト」と呼んでしまうことは、明らかなミスリーディングです。
もし今後、戸田市で正式な「ラウンドアバウト」を設置することがあるのであれば、その際の反発気運をも醸成しかねません。
そこで後日担当課に出向き、結果としては、
「このロータリーについて、今後『ラウンドアバウト』という言葉は用いない。」
との回答を得ました。
このロータリーで一時停止が見落とされやすい主な要因として考えられるのは、
①横断歩道の先に一時停止があること。(←正式なラウンドアバウトであれば一時停止不要)
②一時停止と横断歩道との間がカーブになっていること。
③車道と自転車走行空間とが離されており、そのせいでカーブ部分に工作物が設置されてしまっていること。
の3つです。【画像参照】
自転車走行空間の不備については、整備中であった1年半前に担当課に伝えていたのですが、今回はあらためて、上記①~③の問題を有する整備形態とした経緯について質しました。
ただし、このロータリーは数年後には撤去される暫定的なものであり、ここでさらにお金をかけて道路改修を行うことは現実的ではないため、他の議員が一般質問で提案されていた「啓発の改善」を私からも要望しました。
しかし、そもそも何故この交差点を一時停止不要のラウンドアバウトとしなかったのか、という疑問については、
「戸田市としてはラウンドアバウトにするための整備を行ったが、最終的に警察の判断で一時停止が設置された。」
との回答でした。
私は、今週木曜日にあらためて現地を確認しました。
そこでは、警察官が5人、建物の陰に隠れていました。
そして、ロータリーに徐行で進入した1台のクルマが検挙されました。
県民一人当たりの警察官が少ない埼玉県にあって、数年後には無くなる暫定的なロータリーで、「徐行」という安全意識の見られる運転を行うクルマを、5人もの大人数で検挙する、という非生産的な職務を行うのは、大変にご苦労なことと思います。
このような交差点を整備してしまった以上、戸田市にできることは、警察による検挙から市民を守ることです。
◎【記者発表資料】ラウンドアバウト《円形交差点》の運用開始(戸田市公式サイト)
◎戸田駅前の円形ロータリー(真木大輔公式ブログ)
◎ちょっと長くなりますが「ラウンドアバウト」について(真木大輔公式ブログ)
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[生活と環境, 行財政改革]2016年6月19日(日)
先日の土曜日に、「上下水道事業市民フォーラム&施設見学会」に参加しました。
●午前中に開かれた市民フォーラムでは、専門家による「上下水道使用料」に関する講演が行われました。
要するに、戸田市が来年4月に下水道使用料を値上げする前に、市民の理解を得ることを目的とした講演なのですが、基本法令に立ち返りつつ具体例も交えての説明がとても分かりやすく、講演の後に多くの参加者の口々から、
「先々のために値上げはやむを得ない。むしろ、これまでは税金による赤字補填により、本来なされるべき教育や福祉などのサービスに税金が充てられてこなかったのではないか。また、戸田市の下水道使用料がこんなに安いことを知らなかった。」
という感想が述べられていたのが印象的でした。
●午後の施設見学会では、「荒川水循環センター」と「西部浄水場」を見学しました。
「荒川水循環センター」は、戸田市や近隣市から排出された汚水をキレイにして荒川に流すための埼玉県の施設で、笹目5丁目にあります。
意外だったのは、下水の汚れのほとんどは、クマムシくんを始めする微生物たちにキレイにしてもらっているということです。そして、微生物たちの活動のためにも、流しに油を捨てるのはやめて欲しいとのことでした。
次に訪れた「西部浄水場」は、埼玉県の浄水場から有料で取水した浄水(県水)と戸田市内の井戸から汲み上げた無料の地下水(井水)をご家庭へ送るための戸田市の施設で、笹目2丁目にあります。
なお、県水と井水のブレンド割合は「8:2」とのことですが、時間帯によってその割合は変動させているとのことです。
●以上、簡単にまとめましたが、参加された市民の方々にとっても、議員の私にとっても、大変勉強になる一日でした。
施設見学会は、今回が初めての開催とのことですが、来年以降の開催も予定しているとのことですので、戸田市の上下水道プチ博士になられたい方は、是非(お子さんも連れての)次回のご参加をご検討ください^^
◎上下水道事業市民フォーラムと施設見学会(広報戸田市)
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[生活と環境]2016年6月11日(土)
本日は、先日にこちらでお知らせした「ホタルの鑑賞会」に妻と娘と一緒に参加しました。
開始時間の19時30分には会場であるリサイクルフラワーセンターに到着したのですが、すでに小さいお子さん連れのファミリーなどで溢れ返っており、そのあとからも続々と!
会場のスタッフさんにお訊きしたところ、約1000人が集まった昨年の鑑賞会よりも参加者が多いのでは、とのことでした。
人工飼育のホタルが放たれたビオトープ(池のある原っぱ)に私家族が入場できたのは20時頃でしたが、夜行性のホタルにとってはまだおねんねの時間だったようで、残念ながら夜空を舞うホタルの光を観ることはできず、代わりに、ケージに入ったホタルを鑑賞しました。
職員さんに伺ったところ、ホタルの動きが活発になるのは「20時30分頃」とのことですので、来年に鑑賞会へ参加される方はご参考にしてください。
ホタルの光は求愛行動のサインとのことです。
来年の鑑賞会に向けて、多くのカップルが成立したことを願います。
※ビオトープ内での写真撮影は禁止されていましたので、代わりにビオトープへの入場を待つ行列の様子を掲載しました。
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