スウェーデンの教育危機

教育]2015年5月7日(木)

教育立国フィンランドに隣接するスウェーデンは、かつては先進的な教育を行う国として注目を浴びていましたが、近年は急激に学力を落としています。

 

危機感を抱いたスウェーデン政府が、昨年にOECDへ調査分析を依頼したところ、今月4日にOECDから、

 

「一連の教育改革に取り組みながら、学校教育の改善に失敗した」
「学力の格差拡大と全体の学力低下を招いた学校選択制・フリースクールの見直しが必要」

 

等との報告が発表されました。

 

 

【参考】
・「スウェーデン教育の凋落、緊急な改革が必要 OECDが警鐘

 

・”Improving Schools in Sweden: An OECD Perspective

 

学校間の競争を煽る「学校選択制」や「学校の民営化」は、一見、市場原理に適っており、教育の質を上げるように思われがちです。
しかし実際は、学校間の格差を拡大させ、結果として国全体の学力低下を招きます。
これは、アメリカやイングランドなどの諸外国で既に明らかになっている事実であり、アメリカでも「学校選択制は失敗だった」と言われています。

 

私は、過去の議会で「全国学力テストの学校別成績は公表すべきでない」と提言しましたが、それは、学校別の成績を公表することが、「学校選択制」や「学校の民営化」「学校単位の予算配分」などと結び付き、市全体の学力低下や地域社会の崩壊を招くことを危惧しているためです。
(※現時点で、戸田市の学校別成績は公表されておりません。)

 

「公教育は市場ではない」ということを、改めて認識していただければと思います。

 

【参考】真木レポート9号

 

 

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浄化槽の法定検査 ~市民生活常任委員会の予算審議から~

生活と環境]2015年5月6日(水)

戸田市の下水道普及率は87.2%となっており、残りの方々の大半は「浄化槽」を使用しています。

 

浄化槽の使用者には、浄化槽法という法律によって、①保守点検 ②清掃 ③法定検査 の3つが義務付けられています。

 

戸田市において、平成25年度末時点での①保守点検の実施率は「約53%」、③法定検査の実施率は「約18%」となっています。

 

③法定検査の低い実施率を改善するため、戸田市は昨年に初めて、「市長名による個別通知」を浄化槽使用者へ送付しました。

 

これにより、③法定検査の実施率は向上したものの、これまで下水道料金に比べて何倍もの高額な費用を掛けて①保守点検②清掃を実施してきた浄化槽使用者のうちの多くの方々は、さらなる自己負担での③法定検査を命ずる突然の個別通知に対して不満(や恐れ)を抱いているという現状があります。

 

そこで、委員会の予算審議の中で、以下の質疑を行いました。

 

Q. ③法定検査の位置付けは?
A. ①保守点検と②清掃がきちんと行われているかを点検する目的。

 

Q. ①保守点検と②清掃をきちんと実施している浄化槽の、③法定検査の合格率は?
A. 合格率は高いはず。

 

Q. そもそも、①保守点検と②清掃は県や市の認可を受けた業者が行っている。③法定検査の実施率を上げたいというのは行政の論理であり、そのために浄化槽使用者に更なる負担を強いることは、(税金を投入して日本一安い下水道料金が維持されている戸田市の現状においては尚更)理解を得られづらい。①保守点検と②清掃を実施している浄化槽に関して、③法定検査を実施したとみなすことはできないか?
A. 国の法律なので難しい。

 

Q. 市内の浄化槽の設置基数は?
A. 約2000基。

 

Q. 約2000基の浄化槽に対して③法定検査の費用5000円を補助した場合、市の負担は100万円程度である。検査費用を補助する考えはあるか?
A. 考えていない。

 

上記の質疑応答については、委員会の後日に開かれた本会議での「委員長報告」にきちんと載せていただき、市長を始めとする執行部の方々に対し、地域の方々の声を一定程度伝えました。

 

しかし依然として、この「浄化槽の法定検査」に関しては、行政と浄化槽利用者との間に大きな乖離があります。
下水道普及率が100%に達するまでこの状態が続くことは、市民のみならず行政にとっても不幸なことだと考えます。
今後、それを埋め合わせるための手立てを考えたいと思います。

 

(※写真は、上部が①保守管理の様子、下部が②清掃の様子です。)

 

 

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期待している国の制度

教育, 子育て, 交通と自転車]2015年5月5日(火)

国の制度が整備されることで、市区町村の施策が充実することがあります。

 

私が、いま大いに期待している国の動きは3つあります。

 

(1)「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」(上記画像)

 

この審議会の主な議題は、「教員の負担軽減」です。
昨今、教員の負担増加が問題となっていますが、今後、各種専門員の配置や事務作業の分業・連携・効率化などを進めることで、教員がこれまでよりも学級経営に専念できるよう、現場の実情を踏まえた議論が行われています。

 

(2)「成育基本法成立にむけた議員連盟
新たな少子化社会対策大綱策定のための検討会

 

日本の従来の子育て支援策は「縦割り的」であることが問題でしたが、今後はフィンランドの「ネウボラ」を参考にした、「妊娠から出産、育児、就学まで」を一貫してサポートする体制の整備を目指す動きが始まっています。
既に、お隣の和光市やいくつかの自治体で「子育て世代包括支援センター」としてモデル事業がスタートしておりますが、私も、昨年に戸田市長へ提出した会派の予算要望書の中で、このテーマを取り上げています。

 

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(3)「安全で快適な自転車利用環境創出の促進に関する検討委員会

 

国内の自転車走行空間の量の増加と質の向上を目指した、国交省と警察庁との合同による審議会です。
2年前に国交省が策定した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」に則して、全国の自治体が自転車走行空間整備を進めてきた中で見えてきた課題について議論し、今後の整備促進を図るものです。

 

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これらの審議会の答申により国が動き、その後に市区町村にまで降りてきます。それを私は心待ちにしています。

 

 

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3世代遊び場マップ

子育て]2015年5月4日(月)

昨日投稿した「空き地の閉鎖」の記事ですが、現時点で閲覧数が1,000を超え、ここ最近の中では特に大きな反響があります。

 
子供の遊び場について論じるときに、よく「現代は、都市化の進行により空き地が少なくなった。」と言われますが、それを可視化したものが、画像にある「3世代遊び場マップ」です。

 
画像左は、世田谷区における「1960年代→1980年代→2000年代」の子供の遊び場の変遷を示しています
画像右は、岡山市における「1935年頃→1965年頃→1997年」の変遷です。


いずれの変遷を見ても、子供の遊び場として、まずは「原っぱや空き地」が無くなり、次に「道路」が無くなっている様子が分かります。もちろん、それらの場所を子供達から奪っているのは、私たち大人です。


都内の多くの自治体では、その対策として、公共施設内や学校敷地内に遊び場を設置するなどの積極的な対応をとっています。


かつて戸田市は田んぼばっかりだった、という話を聞きます。
戸田市内の遊び場の変遷も、都内と同じ道を辿っているのであれば、今後戸田市が取り組むべき対応は自ずと分かります。
(※また同時に、通過交通を抑制することで生活道路を安全にし、子供たちが遊べるようにするといった対応も必要です。)


昨日の記事でもお伝えしたように、私の住む地域(新曽北小学校区)では、子供達の遊び場の主はマンションのロビーとのことです。
仮にこの地域で遊び場マップを作ったときに、赤く塗られるのがマンションばかりではあまりにも酷です。


【参考】
クローズアップ現代:子どもって迷惑?~急増する保育園と住民のトラブル~


岡山市内六学区での子どもの遊び環境調査

 

 

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遊び場の閉鎖

子育て]2015年5月3日(日)

自宅の近所の空き地(空閑地)が閉鎖されました。

 

ボール遊びや大声が閉鎖の原因とのことですが、確かにこの空き地には住宅が隣接しているため、今回の閉鎖は致し方ないとも思います。

 

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しかし、このような息苦しそうな空き地でも、この地域(新曽北小学校区)の子供達にとっては数少ない遊び場でした。それくらい、子供達の遊び場がありません。

 

聞くところによれば、この地域の子供達は、放課後、遊び相手を探しにマンションのロビーを転々とするそうです。
私の住むマンションでも、よく子供達がエントランスやエレベーター前に集まってゲームをしていましたが、最近はそれすらも禁止されました。

 

子供達が行政に声を上げることはできませんし、子供というものは与えられた環境に順応してしまうので、この環境を素直に受け入れてしまっているかもしれません。だとすれば、それはとても悲しいことです。

 

子供達の成長にとって遊びは必要不可欠ですが、そのための場所をまちなかから奪ってきたのは私たち大人です。私たち大人には、子供達にきちんと遊び場を用意する責任があります。

 

もちろん、私も議会で何度か提案をしています。しかし、いまここで置き去りにされている子供達を思えば、やれることはまだあるのかもしれないと思います。

 

 

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