[交通と自転車, 生活と環境]2016年6月25日(土)
昨年6月に供用が開始された「戸田駅西口のロータリー」について、やや長文です。
先日、地域のご婦人からお電話があり、
「昨日、戸田駅西口のロータリーに徐行で侵入したら、一時不停止で警察に捕まった。これまで40年間ゴールド免許で、安全運転には気を付けていたのでとてもショックだった。まわりの知人にも、あそこのロータリーで捕まった人が多い。どうにかしてほしい。」
とのご意見を頂きました。
それを受けてその日に現地確認を行ったのですが、そこから対応を進める前に、ちょうどその日の翌日の議会において、他の議員が一般質問でこのロータリーを取り上げられることが分かっていたので、まずはその質問を聴くことにしました。
以下、質問と答弁の要約です。
Q. 戸田駅西口のラウンドアバウト(環状交差点)における通行違反の検挙数は1年間で「約1000件(1日あたり2.7件)」もある。通行車両へのさらなる啓発を。
A. ①ラウンドアバウトの通行方法に関する啓発チラシの配布、②路面標示や注意喚起看板などの視認性向上、を検討する。
私は、この質問と答弁の趣旨自体には賛同しますが、ひとつだけ大きく引っかかる部分がありました。
それは、このロータリーを、議員はまだしも行政が「ラウンドアバウト」と呼んでしまっていることです。(過去の市の広報物やプレスリリース、また新聞報道においても「ラウンドアバウト」と呼んでおり、私は不満を抱いていました。)
このロータリーがまだ整備中であった1年半前にこちらで報告した通り、このロータリーは「ラウンドアバウト」ではありません。
仮に「ラウンドアバウト」であれば、循環部分へ進入する際は徐行しさえすればよく、一時停止までする必要はありません。(そしてそれが、交通の円滑化や省エネという「ラウンドアバウト」のメリットでもあります。)
このロータリーは、通行方法が大変分かりにくい中途半端な交差点であり、行政がこのロータリーを「ラウンドアバウト」と呼んでしまうことは、明らかなミスリーディングです。
もし今後、戸田市で正式な「ラウンドアバウト」を設置することがあるのであれば、その際の反発気運をも醸成しかねません。
そこで後日担当課に出向き、結果としては、
「このロータリーについて、今後『ラウンドアバウト』という言葉は用いない。」
との回答を得ました。
このロータリーで一時停止が見落とされやすい主な要因として考えられるのは、
①横断歩道の先に一時停止があること。(←正式なラウンドアバウトであれば一時停止不要)
②一時停止と横断歩道との間がカーブになっていること。
③車道と自転車走行空間とが離されており、そのせいでカーブ部分に工作物が設置されてしまっていること。
の3つです。【画像参照】
自転車走行空間の不備については、整備中であった1年半前に担当課に伝えていたのですが、今回はあらためて、上記①~③の問題を有する整備形態とした経緯について質しました。
ただし、このロータリーは数年後には撤去される暫定的なものであり、ここでさらにお金をかけて道路改修を行うことは現実的ではないため、他の議員が一般質問で提案されていた「啓発の改善」を私からも要望しました。
しかし、そもそも何故この交差点を一時停止不要のラウンドアバウトとしなかったのか、という疑問については、
「戸田市としてはラウンドアバウトにするための整備を行ったが、最終的に警察の判断で一時停止が設置された。」
との回答でした。
私は、今週木曜日にあらためて現地を確認しました。
そこでは、警察官が5人、建物の陰に隠れていました。
そして、ロータリーに徐行で進入した1台のクルマが検挙されました。
県民一人当たりの警察官が少ない埼玉県にあって、数年後には無くなる暫定的なロータリーで、「徐行」という安全意識の見られる運転を行うクルマを、5人もの大人数で検挙する、という非生産的な職務を行うのは、大変にご苦労なことと思います。
このような交差点を整備してしまった以上、戸田市にできることは、警察による検挙から市民を守ることです。
◎【記者発表資料】ラウンドアバウト《円形交差点》の運用開始(戸田市公式サイト)
◎戸田駅前の円形ロータリー(真木大輔公式ブログ)
◎ちょっと長くなりますが「ラウンドアバウト」について(真木大輔公式ブログ)
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[交通と自転車, 福祉と医療]2016年6月22日(水)
「埼玉県でのタンデム解禁」が実現に近づきました!
タンデム自転車とは、2人(以上)でペダルを漕ぐ自転車のことで、親子やカップルのレジャーとしてだけでなく、視覚障害者が後部座席に乗って“風を感じる”ためのツールとしても重宝されており、こちらはパラリンピックの公式種目となっています。
タンデム自転車は、安全性が高く事故の事例がほとんど無いにも関わらず、日本では(世界的にかなり珍しく)公道上の走行が認められていないのですが、国内の各地域の視覚障害者団体などの要請などにより、現在では「11府県」が公道上の走行を許可しています。埼玉県はそこに含まれていません。
そこで、先日の6月10日の埼玉県議会において菅原文仁県議が「埼玉県でのタンデム解禁」を求める一般質問をされ、埼玉県警本部長から「検討、研究してまいる。」という前向きな答弁を得られました。
この答弁は翌日の読売新聞で取り上げられ、その後、菅原県議のもとには他の新聞社からの取材も来ているとのことです。
菅原県議のFacebookでも報告されていますが、この質問は、私が頂いたご意見を菅原県議にお繋ぎしたことがきっかけとなりました。
その後、ご意見者から提供いただいた情報を菅原県議と共有する一方で、菅原県議は、タンデム勉強会への参加やタンデム試乗体験に加え、埼玉県視覚障害者福祉協会や埼玉県サイクリング協会との協議を熱心に重ねられ、今回の前向きな答弁を得るに至りました。
この結果に、全国の多くの視覚障害者が喜ばれていると思います。
すでに、私の知る各地の自転車関係者のなかでも、「埼玉県がタンデムを解禁するらしいぞ」との情報が広がっているようです。
というのも、昨年8月に関東で初めてタンデム解禁を実施した群馬県に埼玉県が続けば、いよいよ本丸である、2020年東京パラリンピック開催までの「東京都でのタンデム解禁」が現実味を帯びてくるのです!
【参考】菅原県議によるご報告(新聞記事・質問動画あり)
①https://www.facebook.com/sugawarafumihito/photos/a.399437963423701.95866.362213357146162/1191165700917586/?type=3
②https://www.facebook.com/sugawarafumihito/posts/1194862033881286
※掲載画像元
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[交通と自転車, 福祉と医療]2016年6月21日(火)
月曜日に、千代田区の貸会議室で開かれた「ネクスト・モビリティ・コミュニティ 第1回研究会」に参加しました。
参加者は、大手自動車メーカーや、研究者、交通関係の方々など約30名。議員は私ひとりで、フロンティアに来てしまった感がありましたが、何の知識も持っていなかった「ネクストモビリティ」についての概観を得る良い機会となりました。
以下、かなり簡潔にまとめます。
●「ネクストモビリティ」とは、自転車くらいのスピードが出る電動クルマ椅子。
●現在日本で認められているのは、歩くスピードまでしか出ない電動クルマ椅子。
●スピードの出るネクストモビリティによって、高齢者や障害者の外出機会は多くなり、生活満足度が高くなることが分かっている。
●日本では、ネクストモビリティが「どこを走るか」に課題がある。
●幹線道路については、自転車レーンのような「分離空間」をネクストモビリティのために整備することは困難。
●そこで、国内の道路の多くを占める「歩道の無い生活道路」を、歩行者・自転車・ネクストモビリティにとっての「共有空間」にすれば良い。クルマはそれらに遠慮しながら走る。
と、このようになりますが、大まかに言えば、ネクストモビリティは「高齢者や障害者にとっての自転車」と捉えられると思います。
健常者にとっての交通手段には、「歩き・自転車・公共交通・クルマ」がありますが、高齢者や障害者にとっての交通手段は、現状では「歩き(=手動/電動クルマ椅子)、公共交通、クルマ」しか無く、そこに新たに「自転車(=ネクストモビリティ)」が加わるというイメージです。
したがって、ネクストモビリティの走行空間に関する議論には、自転車に関するものと共通する部分が多いように思います。
イギリス等では一般的となっているネクストモビリティが、日本でも広く普及する日はそう遠くないと思いますので、それに向けて少しずつ勉強を進めていきたいと思います。
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[交通と自転車]2016年6月8日(水)
他の自治体の施策を蔑むのはよろしくないことだと思うのですが、あまりにも酷い事例が近隣自治体にあるので、戸田市に悪い影響を及ばさないためにも、こちらでご報告しておきます。
その酷い事例とは、お隣の蕨市で(おそらく昨年頃に)整備された自転車通行空間です。写真の通り、歩道を「歩行者だけが通って良い部分」と「自転車が通っても良い部分」とに視覚的に分離しているもので、以下これを「色分け自歩道」と呼びます。
この「色分け自歩道」は、日本にいまだ多くある「自歩道(正確には自転車歩行者道)」と何が異なるかというと、
自歩道
自歩道に歩行者がいない場合に限って、自歩道の中央から車道寄りの部分を「徐行」できる。歩行者がいたら一時停止。
色分け自歩道
色分け自歩道の自転車部分に歩行者がいない場合に限って、自転車部分を「安全な速度と方法で通行」できる。歩行者がいたら一時停止。
というように、「色分け自歩道」は、従来の「自歩道」に比べて自転車の通行しやすさを確保した歩道というわけです。
なお、どちらの自歩道であっても、そこを通る歩行者が最優先であり、かつ自転車は車道左側を走行することが原則であることは変わりません。
以下では、この「色分け自歩道」が間違っている理由を、私の観点から説明します。
理由① 歩行者にとっての空間が狭くなる
道路で最優先されるべき交通弱者である歩行者の空間をいじめることは、そもそもの設計思想として間違いです。いじめるべきは交通強者であるクルマの空間(=車道)です。
(なお、蕨市の事例では、既存の道路の改良ではなく、土地区画整理事業による道路の新設でこのようにしてしまった点が、なおさら不可解です。)
理由② 歩道上での自転車のスピード走行を助長してしまう
「色分け自歩道」は、自転車側に権利を与えたかのような勘違いを生み、自転車は、歩道であることを忘れてスピードを出しがちになります。
理由③ 色分けが完全には守られない
「色分け自歩道」はそもそも歩道ですので、色分けの自転車部分を歩行者が通ることが禁じられていません。実際に、歩行者が自転車部分を歩いている光景は日常です。
そこをスピードを出した自転車が通れば、歩行者との接触事故の危険性は高まります。
理由④ 交差点でのクルマとの事故を招く
歩道を通る自転車と交差点に入るクルマとは互いに視認しにくく、そのことが交差点での出会い頭事故を招きます。
また、「色分け自歩道」では自転車の双方向通行が可能となってしまっているため、交差点での自転車とクルマとの事故発生率が一番高い「歩道逆行(クルマとの逆方向に自転車が歩道上を通行)」が多発します。
さらに、交差点に入るクルマにとっては、「車道順行(=車道左側走行)」「歩道順行」「歩道逆行」の3つの方向から来る自転車に注意しなければならず、これも交差点での事故を招きます。
理由⑤ 自転車の走り方について「逆の教育効果」を生む
「色分け自歩道」は、いずれどこかで通常の道路と接続します。
「色分け自歩道」の自転車部分を通ってきた自転車は、多くの場合、その接続先の道路において、そのままの速度で歩道を通ります。場合によっては、車道に出て車道を逆走します。もちろんこれらの行動は誤っておりかつ危険です。
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蕨市の「色分け自歩道」を現地確認した際に撮影した写真を掲載します。
注目すべきところに〇印を付けていますので、上述の内容を参考に、何が間違っているかを当ててください。
蕨市の「色分け自歩道」周辺の自転車の走り方はグチャグチャでした。この混乱を招くものこそが「色分け自歩道」です。
望ましい自転車走行空間は、戸田市が整備しているような「車道左側に設置された幅の広い自転車レーン」です。
「色分け自歩道」は、車道と分離していることから一見安全に見えますが、それは「(歩行者がいないときに)そこを走っているときだけ」です。誤解なきようお願いします。
それにしても、蕨市に自転車議員がいればこんなことにはならなかったんだろうなと、つくづく残念です。
【追記】
蕨市の担当課に「そもそも何故このような自転車通行空間整備を行ったのか?」と尋ねたところ、
●両脇の歩道の幅員が不均等だったため。
とのことでしたので、「何故、歩道幅員が不均等になったのか?」とさらに尋ねたところ、
●南東(そこの両脇には幅員3.5mの通常の歩道あり)から続く車道のセンターラインを真っすぐ通すため。
とのことでした。
戸田市であれば、車道のセンターラインをずらしながらでも、車道の両脇に自転車レーンを整備したことでしょう。
一方、蕨市は、安全な自転車通行空間の整備を犠牲にして、車道のセンターラインを真っすぐにすることを優先したということです。
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[交通と自転車]2016年5月23日(月)
本日は、交通対策特別委員会で取り組んでいる「公共交通の活性化」の一環として、戸田市の運営するコミュニティバスであるtocoバスの試乗調査を実施しました。
私の班は、新曽地区を中心に走る「西循環」を担当し、西循環からの乗り継ぎも含め、2時間かけて、
市役所⇒(川岸循環)⇒戸田公園駅⇒(西循環)⇒戸田公園駅⇒(川岸循環)⇒市役所
というルートを試乗し、その後検証を行いました。
次回の委員会において私たちの班が提言する項目としてまとめたのは、以下の3つです。
①西循環を市役所経由にすべき
②suica支払いを導入すべき
③巡行ルートにある細街路での路駐取締りを徹底すべき
①に関して、かねてから市民要望は多いのですが、運行時間との兼ね合いで見送られてきた経緯があります。
しかし、もし西循環の市役所経由が実現すれば、「西循環」だけでなく、西循環と接続する「美笹循環」や「南西循環」の利用者も増加することは間違いないです。
そこで、私たちの班では、市役所を経由しつつもトータルの運行時間に影響を与えないような、巡行ルート見直し試案を作成しました。
②に関しては、今回の2時間の試乗のなかで、「suica支払いはできますか?」と運転手に尋ねられた方が2人もいらっしゃいました。
もちろん、suica支払いの導入にはコストが掛かりますが、利用者の利便性向上はもちろん、今後の「バス停や時間帯ごとの乗降客集計」や「国際興業バスと運賃共通化」なども視野に入れた議論も、tocoバス活性化のためには必要であると考えます。
③に関しては、国際興業バスの補完交通というtocoバスの性質上、巡行ルートに細い街路が含まれることが多く、そこに路駐車があると、最悪の場合、tocoバスがそのルートを通ることができなくなり、運行時間に大きな影響を与えてしまいます。(今回も、危ういケースがありました。)
そのような細街路では、警察による取締りの徹底や、路駐抑制を促す啓発看板の設置などが必要と考えます。
もちろん、市内の公共交通を活性化させるために、tocoバスだけを考えれば良いわけではありませんが、まずは委員会としてできるところから着手し、いずれは市内の公共交通全体にまで取り組みが拡げられることを期待します。
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