スウェーデンの教育危機

教育]2015年5月7日(木)

教育立国フィンランドに隣接するスウェーデンは、かつては先進的な教育を行う国として注目を浴びていましたが、近年は急激に学力を落としています。

 

危機感を抱いたスウェーデン政府が、昨年にOECDへ調査分析を依頼したところ、今月4日にOECDから、

 

「一連の教育改革に取り組みながら、学校教育の改善に失敗した」
「学力の格差拡大と全体の学力低下を招いた学校選択制・フリースクールの見直しが必要」

 

等との報告が発表されました。

 

 

【参考】
・「スウェーデン教育の凋落、緊急な改革が必要 OECDが警鐘

 

・”Improving Schools in Sweden: An OECD Perspective

 

学校間の競争を煽る「学校選択制」や「学校の民営化」は、一見、市場原理に適っており、教育の質を上げるように思われがちです。
しかし実際は、学校間の格差を拡大させ、結果として国全体の学力低下を招きます。
これは、アメリカやイングランドなどの諸外国で既に明らかになっている事実であり、アメリカでも「学校選択制は失敗だった」と言われています。

 

私は、過去の議会で「全国学力テストの学校別成績は公表すべきでない」と提言しましたが、それは、学校別の成績を公表することが、「学校選択制」や「学校の民営化」「学校単位の予算配分」などと結び付き、市全体の学力低下や地域社会の崩壊を招くことを危惧しているためです。
(※現時点で、戸田市の学校別成績は公表されておりません。)

 

「公教育は市場ではない」ということを、改めて認識していただければと思います。

 

【参考】真木レポート9号

 

 

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期待している国の制度

教育, 子育て, 交通と自転車]2015年5月5日(火)

国の制度が整備されることで、市区町村の施策が充実することがあります。

 

私が、いま大いに期待している国の動きは3つあります。

 

(1)「チームとしての学校・教職員の在り方に関する作業部会」(上記画像)

 

この審議会の主な議題は、「教員の負担軽減」です。
昨今、教員の負担増加が問題となっていますが、今後、各種専門員の配置や事務作業の分業・連携・効率化などを進めることで、教員がこれまでよりも学級経営に専念できるよう、現場の実情を踏まえた議論が行われています。

 

(2)「成育基本法成立にむけた議員連盟
新たな少子化社会対策大綱策定のための検討会

 

日本の従来の子育て支援策は「縦割り的」であることが問題でしたが、今後はフィンランドの「ネウボラ」を参考にした、「妊娠から出産、育児、就学まで」を一貫してサポートする体制の整備を目指す動きが始まっています。
既に、お隣の和光市やいくつかの自治体で「子育て世代包括支援センター」としてモデル事業がスタートしておりますが、私も、昨年に戸田市長へ提出した会派の予算要望書の中で、このテーマを取り上げています。

 

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(3)「安全で快適な自転車利用環境創出の促進に関する検討委員会

 

国内の自転車走行空間の量の増加と質の向上を目指した、国交省と警察庁との合同による審議会です。
2年前に国交省が策定した「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」に則して、全国の自治体が自転車走行空間整備を進めてきた中で見えてきた課題について議論し、今後の整備促進を図るものです。

 

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これらの審議会の答申により国が動き、その後に市区町村にまで降りてきます。それを私は心待ちにしています。

 

 

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戸田市でのスクールソーシャルワーカー任用

教育]2015年4月24日(金)

今年度から、戸田市で初めて「スクールソーシャルワーカー」(以下、SSW)が任用されました。

 

これまでも、「スクールカウンセラー」(以下、SC)が市内の各中学校へ2週間に一度ほど派遣されていますが、SCとSSWはその役割が大きく異なっています。

 

SCは、「心理学」の専門家として、悩みを抱えた生徒に助言を行うことで、生徒の内面の治療を図ります。活動場所は、相談室です。

 

一方SSWは、「福祉」の専門家として、課題を抱えた生徒とその環境に対して、助言だけでなく仲介や関係調整も行い、生徒の家庭を訪れることもあります。

 

 

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家庭環境の問題を抱えた生徒が増えているいま、生徒個人へのカウンセリングだけでは解決できない問題にSSWが取り組むことは、生徒(とその家庭)にとっても、教員にとっても望ましいことではないかと思います。
国も現在、SSWの配置を進めてはいますが、人材の確保が課題となっています。

 

今回、戸田市でSSWとして(県費で)任用されたのは、社会福祉士と精神保健福祉士の資格をお持ちで、お仕事の合間に、市内でボランティアとして子供達の相談活動をされていた方です。
「教員の負担は大きい。学校の味方でもなく、役所の味方でもなく、悩んでいる家族のためにお役に立ちたい。」とのお考えのもと、これまでにも、ある不登校の生徒のご家庭に3カ月間で数十回の訪問を行い、課題改善を図ってきた実績をお持ちの方です。

 

子供達にとって、従来のSCは敷居が高いと聞きます。
今後、戸田市でもSSWが普及し、「子供たちの強い味方」が増えてくれることを期待しています。

 

※今回の戸田市でのSSW任用は、昨年12月議会における三輪なお子議員の一般質問がきっかけとなりした。

 

 

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戸田市の教育の新たな幕開け ~第1回 戸田市総合教育会議~

教育]2015年4月16日(木)

本日は、新教育長のもとで初めて開催された「教育委員会 定例会」と「第1回 戸田市総合教育会議」を傍聴し、戸田市の教育の新たな幕開けを感じられた素晴らしい日でした。

 

●「教育委員会 定例会」に関して、これまでは、どちらかというと追認の場となっていた印象があります。

 

しかし今回は、委員からの質問に対して担当課から論旨をずらした答弁が返された際、きちんと質問の内容に答えるよう教育長が指示を出し、また、提出された資料に対し委員から「この資料だけでは判断できない。次回からは改善して欲しい。」との意見が出るなど、今後の定例会での“議論の活性化”が期待できるものでした。

 

●「第1回 戸田市総合教育会議」は、過去の大津いじめ事件を発端とした国の教育委員会制度改革を受け、戸田市が全国に先駆けて開催したものです。
この会議では、これまで互いに独立した存在であった「市長」と「教育委員会」が一堂に会し、教育についての議論が交わされます。

 

今回は第一回目として、市長と教育長、4名の教育委員それぞれが、教育への思いや理念を述べられました。

 

かなり要約すると、市長は「まちづくりは人づくり、人づくりは教育」と、教育長は「現場を直視した攻めの教育改革」と、教育委員は「戸田市に合った地域ぐるみでの教育」との考えを示されましたが、いずれも、戸田市の教育を真剣に考えておられることが伝わるもので、正直、傍聴中に少し感動してしまいました。(※議事録は後日公開されます。)

 

会議終了後に、傍聴者(何年間も戸田市の教育委員会定例会を傍聴し続けてこられた元教師の方)が、「これまで、教育委員の教育に対する考えに触れる機会が無かった。今回の会議を傍聴できて本当に良かった。」と、私との立ち話の中でおっしゃっていたのも印象的でした。

 

 

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スポーツ指導でのグッドコーチング ~市民生活常任委員会の予算審議から~

教育]2015年3月30日(月)

3月議会の市民生活常任委員会において、「戸田市スポーツ推進計画(案)」のパブリックコメント結果に関する報告がありました。


この計画の基本目標は、以下の6つです。

 

1.スポーツをする人たちを支援します
2.スポーツを支える人たちを育成していきます
3.スポーツをする場の充実を図ります
4.スポーツとかかわる機会を創出します
5.スポーツを身近に感じる環境を整えます
6.学校や地域で子どもたちにスポーツの素晴らしさを伝えます

 

私は、基本目標2の具体策に含まれていた「各競技団体等における指導者の育成支援 」に関し、委員会の中で、

 

「スポーツ指導者が、子供達の人格を否定するような指導を行ないようにすべき旨を、計画に盛り込んで欲しい。」

 

と要望しました。

 

これは、ちょうど委員会開催日の数日前に文科省から発表された「グッドコーチに向けた『7つの提言』」を念頭に置いての発言です。

 

スポーツ指導においてはいまだに、子供達を罵倒するなど、子供達の人格を置き去りにした指導がなされることが多いと思いますが、それは「子供達のスポーツ技術向上」という本来の目的を忘れた、単なる指導者の利己的な行為です。

 

子供達を不必要に傷付けることなく、スポーツを上達させ、そのスポーツを好きにしてあげられるような、プロ意識を持った指導者が増えてくれることを望んでいます。
そしてこれは、スポーツ指導に限った話ではありません。

 

 

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