ほんの数年にも関わらず隔世の感 ~「特集 下水道使用料改定」~

生活と環境, 行財政改革]2016年11月25日(金)

『広報 戸田市』ほど認知はされていませんが、戸田市上下水道部では年に2回『みずのめぐみ』という広報誌を発行しています。

 

前号から紙面がリニューアルし、レイアウトだけでなく中身も充実しました。

 

先日の11月15日に発行された『みずのめぐみ 第9号』の表紙には、

 

「特集 下水道使用料が改定されます」

との大見出しが付され、紙面では、下水道使用料改定の必要性や経緯などについて、約5ページを割いて詳しく説明されています。
(説明のなかには、私の所属する市民生活常任委員会が掲載を求めた「他自治体との使用料比較」も取り上げられています)

 

市民の皆さんがこの特集記事を読まれれば、今回の使用料改定の必要性については概ね納得していただけるのではないかと思います。

 

さて、下水道使用料の改定に関して、私には特に思い入れがありました。

 

戸田市の下水道使用料は日本一安かったわけですが、実態は、市からの赤字補填によって成り立っていたものに過ぎませんでした。
戸田市にはいまだに下水道の整備されていない地区があり、その地区に住む方々は、下水道よりも6倍ほど高い維持費用(法定検査費用は除く)を負担して浄化槽を使用しています。
これまでは、それらの方々の納める税金も下水道使用料を安く維持するために用いられていたわけで、これは明らかに不公平です。(もっと言えば、民間工場などの下水道使用料も税金で補っていたわけです)

 

この市民間不公平を議会において私が初めて指摘し、時を同じくして、戸田市は下水道使用料改定に向けて(公の場での)動きを見せ始めました。昨年度の初めの頃です。

 

さらには、下水道事業の借金は87億円にまで達し、災害に備える基金はまったく無く、このままでは将来世代へ負担が先送りされてしまいます。

 

私は、市民間不公平と世代間不公平の是正を果たす今回の下水道使用料改定に対し、推進する立場をとりました。
それから約1年半の間、戸田市は、しっかりと手順を踏み、下水道使用料改定の必要性の周知に力を尽くしてきました。

 

数年前に発行された上下水道の広報物では、「戸田市の下水道使用料は安い!」とのアピールがなされています。
それが、先日発行された『みずのめぐみ 第9号』では、「足りない分は税金で補っていたんだ」(掲載画像赤線部)との説明がなされています。

 

その間ほんの数年であるにも関わらず、隔世の感があります。

 

※なお、下水道事業を、「独立採算」で、つまり使用料収入のみで赤字補填無しに運営できている(orできる予定の)自治体は、埼玉県内ではさいたま市と川口市と戸田市の3市のみです。今後、他の自治体においても、独立採算を実現すべく使用料改定が進んでいくことが予想されますが、その前段階にある現時点においても、使用料改定後の戸田市の下水道使用料が県内最安を維持できるのは、実は驚くべきことです。その主な理由は、「コンパクトなまち」「平坦な土地」「経営努力」です。

 

上下水道広報みずのめぐみトップ(戸田市公式サイト)

 

 

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議員にとって任期最後となる12月議会

まちづくり, 生活と環境, 行財政改革]2016年11月22日(火)

本日、議員にとっては任期4年間のなかの最後の議会となる12月議会が開会しました。

 

12月議会で行う一般質問(=自由なテーマでの質問)と質疑(=議案に対する公開質問)の通告書を提出しましたので、以下に記します。

 

一般質問

(登壇予定日時:12月6日(火)午後1時~)

 

件名1.除草ヤギの活用について
(1)市全体における、芝刈りを除いた除草業務の委託料は年間でいかほどか。
(2)主に環境負荷軽減や環境教育、市民への癒やし提供のために、除草業務にヤギを活用してはどうか。

 

件名2.市内在住外国人に対する相談体制の充実について
(1)市役所や学校現場における外国人対応の現状について。
(2)戸田市国際交流協会が実施する「外国人困りごと・生活相談窓口」及び「通訳・翻訳ボランティア」の年間実績について。

 

質疑

(登壇予定日時:11月30日(水)午前10時~)

 

◇議案第115号 指定管理者の指定について
(1)指定管理者の選定に当たり、従前の指定管理期間には行われなかったような、彩湖・道満グリーンパークの活性化に向けた新たな事業の提案はなされたか。

 

◇議案第116号 平成28年度戸田市一般会計補正予算(第6号)
款3民生費、項3生活保護費、目2扶助費、事業1生活保護扶助費、節20扶助費
(1)生活保護扶助費の補正額が約5億9,000万円と多額になった理由は。

 

先議案件に対する質疑

(登壇日時:本日)

 

12月議会に上程された議案のうち、人事院勧告に伴い市長・副市長・教育長・議員の期末手当、および市職員の給与を改定する条例案等については、先議案件であったため、本日の本会議において、通告なしでの質疑を行いました

 

Q. 人件費の年間予算額は、ここ数年、71億円~73億円の間で推移しているが、今回の改定により、人件費は年間でどの程度増加することが見込まれるのか?

 

A. 来年度予算において、現時点での概算では5300万円程度増加することが見込まれる。

 

その他の議員の通告内容については、こちらをご覧ください

 

 

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平成27年度決算審査のご報告 ~H28.9 委員会審査報告⑤~

生活と環境, 行財政改革, 産業振興]2016年11月10日(木)

滞っておりました、9月議会の市民生活常任委員会による決算審査のご報告その⑤(最終回)です。

 

なお、委員会での議論は多岐に渡って行われましたが、こちらでは、私が質問したもののうち分かりやすいものを抜粋しています。

マイナンバーによる証明書発行

 

Q. 証明書自動交付機を撤去し、マイナンバーを利用したコンビニ交付に切り替えたが、(以前に担当レベルで要望した)周知の改善は図ったか?

 

A. イオン等の証明書自動交付機を撤去した場所に周知ポスターなどを貼ったほか、市役所窓口で証明書を発行する市民への案内も徹底させた。

 

Q. コンビニ交付を一度体験してもらうような施策が必要では?【他委員による質問】

 

A. 市役所庁舎内に、(コンビニに設置してあるものと同様の)マイナンバーで証明書を発行できるマルチプリンターを設置する検討をしている。

 

不要になった大型液晶テレビの利活用

 

Q. 市役所窓口にデジタルサイネージを設置したことに伴い撤去した大型液晶テレビの利活用について、以前の委員会で要望したが、現在の状況は?

 

A. 職員内の電子掲示板で譲渡の呼びかけをしたが、申し出が無かったので、そのまま保管しているが、再度周知を行う

 

⇒再度周知を行っても申し出が無ければ、市民課内での活用を早急に。

 

不法投棄パトロール車による環境啓発

 

Q. 不法投棄パトロール車にスピーカーを取り付け、音声による環境啓発を行うための予算を確保していたが、現状は

 

A. 実施に向けいまだ検討中。

 

⇒早期の実施を。

 

路上喫煙啓発員

 

Q. 駅前の路上喫煙啓発員が手持ちぶさたでぶらぶら歩いているような姿を見かけることがある。

 

A. きちんと指導する。

 

⇒人件費(327万円)をシビアに認識するよう要望。

 

Q. 放置自転車撤去員も駅前の巡回をしているため、業務を統合できるのではないか?【他委員による質問】

 

A. 関係部署と調整し検討する。

 

リサイクルフラワーの新規受入れ

 

Q. リサイクルフラワーでの生ごみと花苗との交換事業だが、既存の協力世帯のみに固定されている。目的の一つである環境啓発の点においては、新規に協力世帯を募集し、定期的に入れ替えを行うべきでは?

 

A. 検討する。

プレミアム付商品券

 

Q. 戸田市のプレミアム付商品券は、購入応募者が集まらず、結果的に一部の世帯が何セットも購入した。周知や販売方法に課題があったのでは?

 

A. すべてを売り切るのに8回の抽選を行った。商工会との連携が足りなかったのが今後の課題と認識している。

 

Q. 地域経済振興の効果はあったのか?

 

A. 3億9千万円で6億円の消費が喚起されたと国に報告した。また、高齢者に配布している2000円コイン型商品券の使用喚起にもつながった。

 

戸田橋花火大会の屋台

 

Q. 交通の妨げになるため戸田橋花火大会の露天商を昨年に排除したことで、参加者の満足度が落ちていることから、市内事業者の出店スペースを設けてはどうかと以前の委員会で要望したが、進捗は?

 

A. 来年度は、交通の邪魔にならない場所への露店商の出店を検討しており、また、市内事業者については堤外への出店ができるかどうか国交省と調整中。

 

街路樹の管理

 

Q. 街路樹の管理はいわば場当たり的に行われており、今後は公共施設のように長期的・計画的な管理が必要ではないか、と過去の委員会で提案したが、進捗は?

 

A. 街路樹台帳の作成について、現在道路課と検討している。来年度か再来年度には予算計上できればと考えている。

商店会街灯のLED化

 

Q. 商店会の街灯は、市や国からの補助金により少ない自己負担でLED化でき、それにより①市からの電気料金の3/4の補助金の削減②商店会の電気料負担の削減③環境負荷の軽減④街が明るくなるなど、多くのメリットがあるため、かねてから委員会内や担当レベルで、商店会に対しLED化を推奨するよう求めているが、進捗は?

 

A. 一昨年度までに11商店会中4商店会がLED化し、街灯数では454基中230基がLED化しているが、昨年度は新たなLED化は無かった。窓口で商店会関係者と会うたびにLED化を勧めてはいるが、なかなか進まない。


⇒引き続き推進を。(いま思い付きましたが、LED化初期費用の融資などを検討しても良いかもしれません。)

街角消火器

 

Q. 街角消火器に対するいたずらが増えているが、対策状況は

 

A. 「開封厳禁シール」を町会に配布して貼ってもらったところ、一昨年度は14件あったいたずら件数が、昨年度は7件、今年度はいまのところ0件、と効果が出ている。

 

Q. 初期消火に使用される件数が減っていたが、状況は?

 

A.一昨年度は0件、昨年度は0件だったが、今年度はいまのところ1件。

 

下水道使用料改定の周知(10月28日の市民生活常任委員会より)

 

Q.使用料改定の影響が大きい大口事業者への個別説明は

 

A.当初の予定では、月5,000立米以上を使用する9事業者のみを対象としていたが、月1,000立米以上を使用する50事業者に拡大した。

 

Q. 使用料改定に対する事業者の反応は?

 

A. 45事業者からは使用料改定の理由に理解を頂き、5事業者からは否定的な意見を頂いた。

 

Q. 他自治体への移転を匂わす事業者はあったか?

 

A. 1事業者のみ。

 

Q. 下水道使用料改定による大口事業者の流出防止策は必要と考えるか?

 

A. 残ってもらうための方策の検討は必要と考える。

 

 

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「プラチナ構想スクール@戸田」を聴講しました

行財政改革]2016年10月29日(土)

先日の木曜日は、戸田市文化会館において、市制施行50周年記念特別講演会として「プラチナ構想スクール@戸田」が開かれました。

 

講演をされたのは、プラチナ構想ネットワーク会長であられる小宮山宏氏(現・三菱総研理事長、東京大学第28代総長)です。

 

小宮山氏の提唱される「プラチナ社会」とは、エコロジーで、資源の心配がなく、老若男女が全員参加でき、心もモノも豊かで、雇用がある社会とのことで、課題先進国である日本でのプラチナ社会の実現に向けて、産官学民で連携して取り組んでおられるとのことです。

 

循環型社会の構築、多様な移動手段の確保、働き方の多様化など、今後あるべき社会像を「プラチナ社会」という言葉でパッケージングし、その言葉を軸に各地の好事例などを共有していくことで実現への推進力とする、いわばビジョンのようなものだと捉えました。

 

戸田市も本プロジェクトと連携しているとのことで、この日も多くの職員さんが聴講されていました。
今後の市政運営のなかで「プラチナ社会」という言葉が使われていくのかどうかはさておき、戸田市としてどのような社会を目指しいていくべきかのビジョンがあらためて共有される機会になったのではないかと思います。

 

プラチナ構想ネットワーク 公式サイト

 

 

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集客の「ハードル下げ効果」はあるか ~H28.9 委員会審査④~

行財政改革]2016年10月20日(木)

9月議会の市民生活常任委員会の報告その④です。

 

昨年度決算の審査においては、例えば公共施設や各種講座の利用状況のデータもチェックします。

 

笹目コミュニティセンター[コンパル]の管理運営委託料(約5億9600万円)の決算審査のなかで、私は、コンパルで開かれるパソコン講座の開催件数と参加人数の推移に着目しました。

 

平成26年度
68件、295人

平成27年度
134件、576人

 

開催件数と参加人数が1年でほぼ倍増した理由について質問したところ、その理由を担当課は把握していなかったようで、その後担当課がコンパルに確認し、翌日の委員会で答弁があったのですが、とても興味深いものでした。

 

それは、

 

「参加申込人数3人以上で講座開催だったものを、参加人数低迷の改善策として、平成27年8月からは参加申込人数2人以上で講座開催に変更した。」

というものです。

 

つまり、講座開催にあたっての最低申込人数のハードルを下げたわけです。
それによって講座開催件数が伸びることは容易に想像できるのですが、なんと1講座当たりの参加人数は「平成26年度4.34人⇒平成27年度4.30人」とほぼ変化していません。

 

この効果を言い表す専門的な呼び方があるのか分かりませんが、要するに、

 

「入口のハードルを下げると、ハードルを下げたことによる負の効果(=講座当たり人数の減少)はなく、集客が上がるという正の効果だけが表れる。」

ということです。

 

委員会では、コンパルのパソコン講座では少なくとも有効だったこの方策を、集客の減少に悩む他の講座にも活用するよう求めました。

 

なお、実は私は過去に同様の改善を行っております。
市民向けに消防が実施する「救命講習」に関し、それまで5名以上であった開催要件を、市民の方からの要望を受け、撤廃していただきました。

私が研究者でしたら、ここで救命講習の開催件数と参加人数の推移のデータを入手し、「ハードル下げ効果」が普遍的なものかどうか、どのような条件で成り立つのか、などを調べてみたいところではあります。

 

「初心者向け救命講習」を受講しやすい制度に改善! 2014/9/25(真木大輔公式ブログ)

 

 

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