6月議会で実施した一般質問のご報告ですが、まずは内容のわかりやすいこちらから。
テーマは、「デング熱やジカウイルス感染症などの蚊媒介感染症」です。
デング熱とジカウイルス感染症はともに、日本に生息するヒトスジシマカが媒介となる感染症で、現在のところワクチンや特別な治療法はありません。
このなかで「デング熱」は、一昨年に70年ぶりの国内感染(=海外から帰国した感染者のウイルスが国内で拡がること)が発生したことは記憶に新しいと思いますが、高熱は出るものの死に至る危険は少ない感染症です。
一方で、「ジカウイルス感染症」は、感染した妊婦の産んだ赤ちゃんが小頭症などの障害を持つ可能性が指摘されています。
さらにジカウイルス感染症の恐いところは、発症率が推定2割と低く、また発症しても発熱や頭痛などの症状が軽いために、
「本人が感染していることに気付かない間に、蚊を媒介として感染が広がってしまう」
ことです。また、性交渉による「人から人」の感染事例も報告されています。
今年になって国内で「7例」もの症例が確認されているジカウイルス感染症ですが、幸いなことに、いまだ国内感染は起こっていません。
しかし今年8月には、昨年からジカウイルスへの感染が拡大し4700例以上もの小頭症の赤ちゃんが生まれているブラジルにおいてオリンピック・パラリンピックが開催され、それが日本での蚊の活動期と重っていることから、日本での国内感染が発生することが懸念されています。
私たちができる蚊の防除策は、2つしかありません。
【防除策1】蚊に刺されない
素足でのサンダル履きを避ける、薄い色の長袖や長ズボンを着用する。虫除けスプレーや蚊取り線香などを使用する。
【防除策2】蚊を発生させない
蚊が好む産卵場所である、狭い水たまりのような場所を無くす。(なお、蚊の卵は乾燥に強く、どんなに小さな場所でも、周期的に水が溜まる場所であれば孵化してしまう。)
議場では、蚊媒介感染症の防除に関する以下の2点の提案を行いました。
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Q1.
市民や民間施設、公共施設への周知を。
A1.
市民に対しては、これまで「蚊に刺されない」ための周知を行ってきたが、これからは「蚊を発生させない」ための周知も実施する。(⇒感染の恐れがあるときの対応に関する周知も要望)
民間施設に対してはこれまで周知を行ってこなかったが、今後は商工会等を通じた周知を実施する。
公共施設に対しては、今年4月に各所管課に対して防除の依頼を実施した。(⇒防除がきちんと実施されたかの確認を要望)
Q2.
国内感染の発生時に備えた市の体制整備を。
A2.
今後の体制づくりのため、主体となる所管課を定めたうえで、国内感染発生時の役割や手順を作成することを検討する。
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なお、2つ目の答弁は、かなり画期的なものです。
というのも、蚊感染症対策の対応について、国からはある程度の手引きが示されているものの、そのなかには市町村の裁量によるところがあり、例えば市内や近隣で感染が発生した時には、「どの施設を閉鎖するか」「どのタイミングで、どの範囲まで、誰が殺虫剤をまくか」などの判断やそれに基づく行動を迅速に行うことが求められます。
それらの体制を事前に整備しておくことが、感染拡大を防止することや、市民の不要な混乱を招かないことにつながります。
「新型インフルエンザ対策」に関しては、行動計画を策定することがすべての市町村に義務付けられていますが、「蚊媒介感染症対策」に関して行動計画のようなものを策定している市町村は、私の知る限りありません。
今後、ジカウイルス感染症の国内感染が発生するかしないかは予測しきれませんが、仮に発生した際に迅速で的確な対応をとれるのは、事前の備えをしっかり行っていたところです。
一般質問の残りのテーマである「生活保護医療とこども医療の医療費適正化」「一時保育の福祉的理由による優先利用」については、後日報告いたします。
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