「流暢な英語」ではなく「通じる英語」を ~教育改革国際シンポジウム~

教育]2016年1月20日(水)

昨日は、文部科学省で開催された「平成27年度 教育改革国際シンポジウム」に参加しました。(私にとっては文科省への初めての訪問で心が躍りました。)

 

シンポジウムのテーマは、「英語教育」です。

 

先日の戸田市での研究会に関しては、今後の日本の英語教育の方針が「英語というツールを通してコミュニケーションを学ぶ」ものに転換してくこと、戸田市が既にその方針を見据えて教育改革を行っていることをお伝えしました。(※以下リンク参照)

 

今回のシンポジウムでは、その方針を進めていくうえで、日本人が変えなければいけない英語教育への考え方に関する指摘がありました。
私の目からウロコが落ちました。

 

そのいくつかを紹介します。

 

《目指すべき英語像について》

 

●日本人の学力は世界一だが、英語の能力は低い。

 

●日本人(子供も大人も)の、英語の有益性や必要性の認識は年々高まっている一方で、英語に対する自信は年々減少している。

 

●目指すべきは、「流暢な英語」ではなくて「万人に通じる英語」。

 

●実際に、非ネイティブスピーカーによる「通じる英語」に多く触れるほど、子供達の英語への自信が付くという実験結果がある。

 

●子供達は、流暢な英語を話すネイティブスピーカーではなく、通じる英語を話す非ネイティブスピーカーを心の中のモデルにしている。

 

●日本人英語教員が、「通じる英語」で積極的にコミュニケーションをとる姿を子供たちに見せることが、子供たちの英語を話す気持ちを高める。(まずは、日本人英語教員がグローバル化すべき。)

 

《ALTについて》

 

●子供にとって良い先生は、英語を流暢に話せる人ではなく、子供の心を拾ってあげられる人。

 

●ALTは欧米人などのネイティブスピーカーであるべきとの固定観念があるが、フィリピン人などの非ネイティブスピーカーには在日年数が長い人が多く、子供にとっての良いALTであることが多い。

 

●世界で英語を話す人の3分の2が、非ネイティブスピーカー。

 

《カリキュラム、指導法について》

 

●これまでは文法事項ありきだったが、これからは、小中高での一貫したCAN‐DO(=何ができるか)リストを作り、後からそこに適する文法事項を入れていくべき。(例文に使われている文法事項をすべて教える必要はなく、はじめは慣用句として扱って良い。)

 

●これからの英語授業では、「子供‐子供」間や「子供‐先生」間でのinteractionを中心とすべき。

 

最後に蛇足ですが、私は教育に関するシンポジウムに参加することが多いです。それは、教育について傲慢になることの危うさを認識しているためです。
「教育は誰でも語れる」と云われますが、政治家が安易にそれをしてしまうと、教育行政を歪ませる結果になることだってあります。子供達の将来に大きく関わることなので、無責任にそういうことはできません。

 

平成27年度 教育改革国際シンポジウム(国立教育政策研究所)
※後日、配布資料と講演録が掲載されます。

 

英語というツールを通してコミュニケーションを学ぶ(真木大輔公式ブログ)

 

 

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