フィンランド教育よりも日本の教育が劣っているわけではないことを確認したい

教育]2014年8月22日(金)

本日は、午前中に会派ヒアリング(高齢者福祉サービスについて)と会派会議を行い、夜は東京で開かれたフィンランド教育のシンポジウムに参加しました。

 

2時間30分の長丁場のうち、最後の15分程で説明された「フィンランド教育の負の側面」に学ぶことが多かったです。
逆に言うと、色々なところで強調される「フィンランド教育の正の側面」には、どこか腑に落ちない感覚を抱いています。

今回学んだことを以下に羅列しますが、一部、過去に参加したシンポジウム等で得た見聞も交えています。

 

・フィンランドは、戦争で弱った国力を回復するために教育立国を目指した改革を行ってきた。
・新自由主義を推し進めるOECDが実施する国際学力テスト「PISA」に適応させた教育を行ってきた。結果として、社会で活躍する人材は育つが、逆に基礎研究力が不足している。(例えば、二次方程式の解法は、解の公式しか教えない。より原理的な、平方完成や因数分解を用いた解き方は生徒も教師も知らない!)
・「落ちこぼれを出さない教育」は言い換えると、労働力となり国に還元させるべく行われている「落ちこぼれが許されない教育(何年留年してでも学習内容を身に付けることが求められる)」。
・個性を尊重する教育の結果、自己中心的に育つ子供が多くなっているのが問題となっている。事実、日本の比にならない程のニート大国になっている。個人や個性を尊重するあまり、「働きたくない。頑張りたくない。」という個人の意見を認めざるを得ない(←ここが、かねてから個人的に一番気に掛かっていたところ)。国も対策に乗り出した。ちなみに、フィンランドは離婚率が高い。
・最近、国の新たな教育方針が決まり、これまでの個性尊重教育から日本を参考にした集団教育にシフトしていく。

 

フィンランド教育の粗を探したいというよりは、日本の教育が劣っているわけではないことを確認したい気持ちがあります。
私たち日本人が思っている以上に、日本の教育は機能しています。
なお、OECDが来年度から始める「新たな教育モデル」開発の共同研究パートナーには日本が選ばれています。

 

講演者も述べていましたが、教育の「良いとこどり」は簡単ではないです。例えばフィンランドの少人数教育を真似するには、(現在の日本の教師の給与体系では)莫大なお金が掛かりますし、教師に大幅な授業の裁量を与えるには今の教師は多忙過ぎます(フィンランドでは教師に夏休みが3か月与えられる)。
フィンランド教育を礼賛してそのまま取り入れようとするのではなく、現状ある程度機能している日本の教育を維持しつつ、従来の知識偏重の教育から「新たな学力」の獲得を目指した教育に、少しずつ修正していくのが最善ではないかと私は考えています。

 

戸田市内の一部の学校で進めている「協調学習(ジグソー法)」も、新たな学力の獲得に向けた方策の一つです。

 

ことに教育に関しては、「あの国が理想」と突っ走ることなく、また一方で「日本が一番」と奢ることもなく、自信を持ったうえでの着実な教育改善を図っていくべきと考えています。

 

 

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