会派視察は勉強になりました

教育, 行財政改革, 産業振興]2014年7月30日(水)

先日、菅原県議ご同行のもとに行った会派視察ですが、大変勉強になりました。

 

今回視察させていただいた取り組みは、いずれもがその分野のモデル事業となるに値するものでした。
ただし、お金があまり掛からない施策である反面、市長や知事の強いトップダウンのもとでの職員の継続的な労力(や学者からの協力)を必要とするものが多く、「即座に戸田市での導入を提言する」ものというよりは、「後学のために正しい方向性を掴む」ための視察であったと個人的には感じています。

 

以下、それぞれの施策について簡単に。

 

●静岡県藤枝市「エコノミックガーデニング」
http://fujieda-eg.jp/

 

地域の中小企業をお金で生き長らえさせるのでなく、産学公民金で連携して、お金を掛けずに中小企業が成長する土壌を作る(=経済的なガーデニング)。

 

・お金の掛かる中小企業助成(コスト支援)よりも、お金の掛からない伴走型起業支援(リスク支援)。
・藤枝市では、駅前図書館内の常設支援センターや定期的な相談会・意見交換会など。
・初めて実施されたアメリカのリトルトン市では、当時の先進的な手法を多く取り入れ、企業誘致に頼らずに15年間で雇用2倍、税収3倍。
・ただし、アメリカの事例をそのまま取り入れて上手くいくわけではない。地域の実情にあった施策展開。
・行政が言いだしっぺになると、商工会などの各種団体が連携しやすい。
・産学公民金(産業・大学・行政・市民・地元金融機関)の連携。
・最近は、金融機関内に「地域連携課」がある。地域振興施策への金融機関の参入は、お互いにメリットあり。
・隣市から事業相談に来て、その後事業所を移した事例も。
・飲食業の次にIT業の相談が多い。本当は「ものづくり」の支援をしたいが、設備投資や土地の問題で難しい。
・中小企業が「補助金をくれ」から「まずは自分たちがやらねば」に変わってきた。
・成果を長い目で見ることと、市民への説明が必要。

 

●静岡県「施策展開表」
http://www.pref.shizuoka.jp/soumu/so-030/gyotana/index.html
http://bit.ly/1n3pTqI

 

とかく業務にばかり目が行ってしまう行政組織の意識を、住民の立場に立った「目的」に常に向けさせることで、住民福祉向上に向けた効率的な業務遂行や業務再編成を行うことができる。

 

・従来の人減らし等の「節約型」の行政運営でなく、「生産性向上」に向けた行政改革。
・予算獲得を第一とする「内向き」から、顧客第一の「外向き」志向へ。
・①最終的な目的(総合計画)②業務目的(課の目的)③そのために必要な作業、をすべて関連付けた「ロジックモデル」により、常に作業の目的を見失わない。
・また、ロジックモデルにおいて、「目的」に重点を置くことで、作業自体が目的化するのを防ぎ、作業の見直しや課の再編成が行いやすい。
・施策の評価を「活動の結果(アウトプット)」でなく「県民にとっての効果(アウトカム)」で表す。例えば、渋滞箇所の事業化率でなく渋滞の解消率。下水の普及率でなく河川水質の改善率。
・ロジックモデルとアウトカム評価をもとにすべての業務を一覧にした「施策展開表」と、主要な事業に関する「事業シート」を作成。
・議会の決算員会に提出。
・市民や大学生とのレビューも行う(ネット中継も)。ただし、職員のやる気を削ぐ「仕訳け」ではなく、「意見の反映」。
・他にも、職員の「ひとり1改革運動」など。

 

●神奈川県「部活動への民間活力導入」
http://www.pref.kanagawa.jp/cnt/f5088/

 

学校教育活動の一貫としての部活動を、生徒それぞれの満足度を高めることを目的として、民間の力を取り入れながら活性化させる。

 

・有償民間人や無償民間人による特別コーチ。バレーボールのアナリストや、トレーナーなども。
・知事表敬訪問制度や多様な表彰制度による動機づけ。
・高校選びの参考となるよう、全校の部活動活動調査を公開。
・高校受験生に向けた、高校生作成の部活動紹介ビデオ。
・関東近郊の大手企業やプロスポーツチームによるドリーム講習会。
・プロレベルの小学生を教えられる人材は多くても、プロレベルの高校生を教えられる人材は少ないので、ドリーム講習会は貴重な機会。
・学校と民間企業との間を教育委員会が橋渡しすることで、スムーズに連携が取れる。
・女子の部活動参加率を上げることが課題。「美と健康」をテーマにした部活動の創設を検討中。
・部活動参加率を上げたり、全国大会出場を目指したりだけでなく、生徒それぞれの目的に合わせた満足度を上げることが課題。
・教師の負担軽減も副次的な目的。(⇒この点について、私としては国の「チーム学校」の展開に期待。)

 


今回の視察には「政務活動費」を利用させていただき、費用は一人当たり約2万8千円でした。
戸田市議会では、視察後の報告書と(視察に限らず)全ての領収書を議会事務局へ提出する義務があります。もちろん、それらの情報公開や情報開示も行っています。
なお私の場合、レポート発行費や勉強会参加費、図書費等を合わせると、戸田市議会の一人当たりの政務活動費である「年間48万円」を超え(むしろ超える分の方が大きい)、その分については自費です。

 

 

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