少人数学級と費用対効果 ~請願の不採択~

教育]2015年9月30日(水)

昨日、9月議会が閉会しました。

 

私の関心のあるところですと、「小学3年生で35人学級・中学2年生で38人学級実現を求める請願」が賛成少数で不採択となりました。

 

私がかつて所属した文教建設常任委員会において、1年間審議し時間切れとなってしまったものを、現在の文教建設常任委員会が引き継ぎ、他自治体や市内の小中学校を視察した上で、以下の見解を示しました。

 

《少人数学級》
①メリットは、教室内で教員の目が届きやすいこと。
②デメリットは、教員の確保による財政負担がとても大きいこと。
③費用対効果が小さい。

 

《戸田市の現状》
④生徒数が増加していることによる教室確保の問題。
⑤(少人数学級に比べてお金の掛からない)補助指導員や協調学習等の施策で効果が出ている。

 

私も、これらの判断は(一面では)正しいと考え、採決では「少人数学級反対」の態度をとりました。しかし実態は、「消極的な反対」です。

 

上記の判断のうち、③と⑤の中で出てくる「効果」という言葉は、すべて「学力面での効果」を意味しています。

 

掲載したグラフは、学力と学級規模との関係を示したアメリカの研究結果ですが、ここでも「効果」としては「学力面での効果」のみが取り上げられています。

 

おそらく、少人数学級を求められている保護者の中には、「精神面での効果」を期待してる方も多いかと思いますし、私もその効果は「ある」と考えています。

 

ただし、財政難が続く社会においては、予算獲得の際に「データを基にした費用対効果を示せること」が今後ますます必要になってきます。これは、教育政策においても例外ではありません。

 

現状では、「少人数学級は学力面での費用対効果が小さい」というデータのみが示されており、私は、それに対して反駁する術も、また精神的効果が「ある」と喧伝して突っ走る気概も持ち合わせていません。その意味での「消極的な反対」です。

 

今後、仮に「少人数学級は精神面での費用対効果が大きい」というデータが揃ったときにようやく、費用と効果を考慮したうえでの“政策判断”が必要になるのかと思います。「公教育に求められることは何か」という根本的な問いも含めてです。

 

世知辛い世の中になったとお感じになられるかと思いますが、そうせざるを得ないほど財政危機が迫っているということでもあります。

 

 

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