リフォームするCさんとBさん ~公共施設工事費の上限設定~

行財政改革]2016年8月8日(月)

例え話から入ります。

 

自宅をリフォームしたいAさんとBさんとCさんがいて、いずれも希望するリフォーム内容は同じであるとします。
また、リフォーム全体の費用には、設計事務所へ支払う「設計料」と工事業者へ支払う「工事費」が掛かるとします。
なお、設計事務所による設計のクオリティについては、事前には分からないとします。

 

●Aさんは、設計料が工事費の10%である設計事務所に設計を依頼し、その際に「希望するリフォーム内容」と「工事費予算300万円」を伝えました。
結果として、「設計料30万円+工事費300万円=330万円」で希望した通りのリフォームができました。

 

●Bさんは、設計料が工事費の8%というお得な設計事務所を探し、設計を依頼する際に「希望するリフォーム内容」と「工事費予算300万円」を伝えました。
結果として、「設計料24万円+工事費300万円=324万円」で希望した通りのリフォームができました。

 

●Cさんは、設計料が工事費の8%というお得な設計事務所を探し、設計を依頼する際に「希望するリフォーム内容」のみを伝えました。
結果として、「設計料40万円+工事費500万円=540万円」で希望した通りのリフォームができました。

 

私は、この状況において一番合理的な行動をとったのはBさんだと思います。
Cさんのことは「お金に余裕がある人」とは思います。ただ、もしかするとCさんのリフォームは、Cさんの希望だけでなく設計事務所のやりたいことも含まれた“過剰な”リフォームとなったために、費用が高くついてしまったという可能性も考えられます。

 

話を戻します。

 

戸田市はこれまでCさんでした。

 

昨年にオープンした「こどもの国」も「あいパル(上戸田地域交流センター)」も、それ以前に建てられた公共施設も、それらを建設するにあたって、一般競争入札でより安い設計業者を探したのは良いものの、工事費の上限は設定していなかったため、実際の工事費は、なかば“設計業者次第”となっていたわけです。
昨年に国内で問題となった新国立競技場と同じです。

 

私が一般質問において「工事費の上限設定」を提案したのは、昨年の9月議会です。
そして今月に入り、大型の入札案件が出てきました。
スポセン屋内プール整備と戸田東小中学校一体整備の設計委託業務です。

 

 

【業務名称】戸田市スポーツセンター屋内プール新築工事設計業務委託
【予定工事費】約8億円

 

【業務名称】戸田東小学校・戸田東中学校改築等工事設計業務委託
【予定工事費】約60億円(消費税10%・改修費・解体費・外構費含む)

 

どちらも設計委託業務の一般競争入札ですが、この段階からあらかじめ工事費の上限が示されています。

 

戸田市はようやくBさんになりました。
Bさん一家が、リフォームの設計を依頼する前に、家族の希望を募るだけでなく家計も考慮してリフォーム工事の予算を決めたように、戸田市も、設計委託業務の入札を実施する前に、施設の担当課(文化スポーツ課や教育委員会)と資産管理課、財政課などで協議し、工事費の上限を決定したとのことです。

 

近年、市の財政悪化を背景に行政サービスの市民負担が増えていますが、これでもし戸田市がCさんのままだったら、市民からの理解はより得づらいものとなったのではないかと思います。

 

平成27年9月議会 一般質問 議事録「公共施設の建設費や維持管理費の節減について」(真木大輔公式サイト)

 

 

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