「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」一部改訂と戸田市の状況

交通と自転車]2016年8月7日(日)

このところ、他自治体の議員や市民の方から、「わが市でも自転車走行空間の整備を進めたい」というご相談を頂きます。
先日は、日経新聞(7/29朝刊)で報道された「国の自転車ガイドライン改訂」と戸田市の状況に関してのお問い合わせがありましたので、やや専門的な内容になりますが、こちらでみなさんにもご報告しておきます。

 

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平成24年11月に国交省と警察庁により策定された「安全で快適な自転車利用環境創出ガイドライン」は、主に自転車走行空間の整備について定めたもので、本年7月19日に一部改訂がなされました。

 

以下では、今回の一部改訂の主なポイントを(新聞報道では触れられていないものも含めて)5つ挙げ、それぞれの概要と併せて戸田市の状況についてもご説明します。

 

ただ、一言でいえば、「改定される前から戸田市は大丈夫」です。

 

【ポイント①】段階的なネットワーク計画策定

 

自転車走行空間を単発的に整備していくのではなく、これからは、重点的なエリア毎に計画を策定&整備し、最終的にそれらのエリアを繋いでいくことで、広域の自転車ネットワークを整備しよう、というものです。

 

戸田市では、ガイドライン改訂前から、ほぼ同様の整備を進めています。具体的には、自転車通行量の多い「イオン・南陵高校付近」「市役所南通り」を重点エリアとし、優先的な整備を進めています。(ただし、戸田第二小学校前の自転車走行空間だけは単発的です。)

 

【ポイント②】暫定形態の積極的な活用

 

クルマの通行量が多い道路における自転車走行空間としては、「自転車道(=車道とも歩道とも縁石などで仕切られた自転車走行空間)」や「自転車レーン」が完成形態とされますが、現状においてそれらの整備が困難な道路でも、「車道上の矢羽根」などの暫定形態の自転車走行空間を積極的に整備しよう、というものです。

 

戸田市では、ガイドライン改訂以前より暫定形態の活用が進められています。イオン前の道路や南陵高校前の道路における「車道上の矢羽根」がその例です。(※下部リンク記事参照)

 

【ポイント③】路面標示の統一


これまでは、自転車レーン上の矢印や、交差点上の矢羽根、自転車ナビマークなどの形状や設置間隔が自治体によってバラバラでしたが、これからは、全国統一の仕様とし、より分かりやすくかつ安全なものしよう、というものです

 

戸田市でも、今後は全国統一の仕様が順次導入されていくと思われますが、既に、昨年3月議会の一般質問で私が提言し本年3月に戸田公園駅前に試験的に導入された自転車ナビマークには、ガイドライン改訂に先立ち全国統一の仕様が採用されています。(※下部リンク記事参照
なお、側溝蓋(グレーチング)については、私が以前に担当課に要望して以降、自転車のタイヤがはまらないような目の細かいものが導入され、これも今回のガイドラインが提示する仕様を満たしています。(※下部リンク記事参照)

 

【ポイント④】色分け自歩道を除外

 

これまでは、自転車走行空間の暫定形態として「色分け自歩道(=広い歩道を歩行者部分と自転車部分に色分けしたもの)」も可とされてきましたが、今回の改訂では、その整備形態が暫定形態から除外されました。

 

戸田市でこのような整備が行われないよう、私は以前から議会で「歩道ではなく車道に整備すべき」と牽制し続け、担当課からの理解も頂いていましたが、ようやく今回のガイドライン改訂により、「色分け自歩道」が望ましくない整備形態と認められました。

 

ところで、以前にこちらで指摘した蕨市の「色分け自歩道」(※下部リンク記事参照)は、今後も整備延長が伸びていく予定とのことでしたが、一体これからどうするのでしょうか?

 

【ポイント⑤】自転車道の一方通行化

 

これまでは、「自転車道(=車道とも歩道とも縁石などで仕切られた自転車走行空間)」の双方向通行が認められていました。

双方向通行の自転車道は、一方通行の自転車道と比べて、自転車にとっての利便性は高いものの、交差点上でのクルマとの出会い頭事故が招かれやすい、自転車同士の対面衝突が起こりやすいなどの課題があります。
今回のガイドライン改訂では、安全面が考慮された結果、完成形態としては「一方通行の自転車道」が基本となりました。

 

戸田市内にはいまだ「自転車道」はありませんが、今後は国道298号(外環)などで整備される可能性があります
今回のガイドライン改訂は、その整備にも影響を与えます

 

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なお、日経新聞の報道は7月29日ですが、私はすでにガイドライン改訂の翌日(20日)には戸田市の担当課と情報共有を行っており、さらに言えば、今回のガイドライン改訂の元となった有識者による提言書についても以前から情報共有しています。

 

自転車レーン表示統一 車道走行促し、事故減少狙う 国交省・警察庁(日本経済新聞)※無料会員登録が必要

 

安全で快適な自転車利用環境創出ガイドラインの一部改定について(国土交通省)

 

本来あるべき道路シェアの形 ~戸田市の自転車走行空間整備~ 2016/2/22(真木大輔公式ブログ)

 

「生活道路への自転車ナビマーク設置」が実現しました 2016/3/28(真木大輔公式ブログ)

 

自転車レーンのグレーチング(=側溝蓋)を目の細かいものに交換 2014/11/10(真木大輔公式ブログ)

 

蕨市のあまりにも酷い「色分け自歩道」 2016/6/8(真木大輔公式ブログ)

 

 

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