本日、34日間を会期とする9月議会が閉会しました。
昨年度決算認定を主とした45件の議案がすべて認定・可決されましたが、それらの議案のうち、私は「戸田市下水道条例の一部を改正する条例」について、賛成議員を代表して討論を行いました。
この条例は下水道使用料値上げに関するもので、私の賛成の根拠は、
①受益者負担となることで、市民間の不公平が解消される。
②災害や施設更新のための財源が確保され、世代間の公平が保たれる。
以上2点を、埼玉県内や東京23区のなかで最も安い下水道使用料を維持したまま果たすことができる。
というものです。
賛成討論の全文を以下に記載しますが、これまでに行った討論と同様、原稿の作成にあたっては、担当課へのヒアリングや調査に時間をかけました。
下水道使用料をいま値上げしなければならないことを、市民の方にきちんと納得していただくためには必要な労力だと考えています。
なお、こちらでの9月議会の報告に関しては、一般質問や委員会審査の分を残していますが、そちらについては、これから何日かに分けて投稿していきます。
もうすぐ10月に入ります。残る仕事をこなしながら、来年1月の選挙に向けた準備を少しずつ進めていこうと思います。
議案第88号「戸田市下水道条例の一部を改正する条例」について、賛成の立場から討論いたします。
本案は、来年4月1日からの下水道使用料を改定し、現行の使用料に対し平均30%の値上げを行うものです。
この改定案は、下水道使用の少ない一般家庭に対する負担が少なくなるよう配慮されたもので、平均的な家庭が一か月に使用する20㎥をもとに試算すれば、月額の下水道使用料は、税込777円から税込1,004円となり、これは埼玉県内や東京23区で比較しても、依然として最も安い使用料です。
執行部の説明によれば、今回の使用料改定には、大きく分けて二つの目的があります。
一つは、下水道事業の独立採算制を実現するというものです。
本市の下水道事業は、生活環境の改善、公衆衛生の向上、公共用水域における水質の保全、豪雨による浸水の軽減を図るべく昭和44年度から実施され、それ以降、設置・改築・修繕・維持その他の管理を市が行ってきました。これはまさに下水道法が定めるものです。
一方で、下水道事業の経理・財務に関しては、当時から、地方財政法及び同法施行令等により「独立採算制の原則」が、また、下水道財政研究委員会提言等により「雨水公費・汚水私費の原則」が示されています。
本市では、それらの原則に従い、汚水処理に係る事業費を下水道使用料収入から賄えるよう、昭和48年の下水道使用料徴収開始以来、昭和51年に平均230%、平成4年に平均33%、平成8年に平均25%、平成12年に平均44%の使用料改定を実施してきましたが、なお一般会計からの補填は続きました。そして、一昨年度の下水道事業への地方公営企業法の全部適用を経て、このたび平均30%の使用料改定を行うことにより、ようやく独立採算制が実現するに至ります。水道事業に遅れること54年です。
これにより、本市の問題であった、下水道未整備地区に住む市民の納める税金が下水道整備地区に使われる、という市民負担の不公平が解消されることは、評価すべきと考えます。
使用料改定の二つ目の目的は、下水道事業を将来に渡り持続させていくための財源確保です。
今回の下水道使用料の改定に際しては、本年度に初めて策定された「戸田市下水道ビジョン」とその「経営計画」において、様々な事業シナリオを想定した10年間の財政収支見通しの評価が行われた後、「戸田市上下水道事業経営審議会」への諮問を経て、平均改定率である30%が導出されました。
これまで一般会計からの補填を受けて運営されてきた下水道事業には、災害の備えにもなる建設改良積立金がまったく無く、かたや、企業債残高は増加の一途を辿り、平成27年度決算では約87億円にまで膨らんでいます。これは、独立採算で運営されてきた水道事業において、建設改良積立金が10億円であること、平成19年度から新たな企業債の発行が無いことと比較すれば、早期に改善を要する課題であると認識されます。
今後、下水道使用料を平均30%改定することで、一般会計からの赤字補填が解消されるだけでなく、建設改良積立金は10年後に約18億円となることが見込まれます。企業債残高は抑制され、未整備地区への整備推進や、改築更新時期を迎える管路施設やポンプ場のための財源確保にも繋がり、これによって、世代間の負担の公平性が保たれるのは望ましいことです。
以上、本案は、本市下水道事業の課題を解決するため、また市民の生活や安全を将来にわたって守るために、必要かつ妥当な改定であると考えます。
最後に、本年6月に実施された下水道使用料改定案に対するパブリック・コメントへ寄せられた延べ12件の市民のご意見には、使用料改定の主旨に賛同されるものはあっても、反対のご意見は無かったことを申し添え、議案第88号についての賛成討論といたします。
◎戸田市議会録画放映(戸田市議会公式サイト)
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